床版の土砂化の原因と対策とは?専門業者の視点でわかりやすく解説
歩行者や車両の通行、橋全体の強度の維持など、橋において重要な役割を担っている床版は「土砂化」という形で急激に劣化することで知られています。
日本の橋のおよそ6割は2032年に建設後50年を迎えるため、この「土砂化」という問題と向き合うことは急務です。
- 床版の土砂化の概要
- 床版の土砂化の原因と対策
- 床版補修の工法
これらの点について、専門業者の視点でわかりやすく解説していきます。
床版の土砂化とは?
RC床版やPC床版など、床版にはいくつか種類がありますが、大半の床版に共通しているのが「コンクリートを使用している」点です。
そして、床版の土砂化とは、このコンクリートが土砂のように脆くなることを指し、一般に下記の流れで進行していきます。
- 舗装の排水性の低下やひび割れにより水が浸透する
- 床版上面の水の割合が高まりコンクリートの劣化が進行する
- コンクリートの表面と内面が分離(浮き)し、土砂化が進行する
コンクリートは原料となるセメントに、骨材と呼ばれる砂や砂利、さらには水を混ぜ込むことで作られ、セメントの割合は2割から4割程度です。
そして、このセメント、骨材、水が適切な割合で混じり合うことでコンクリートとして機能するため、舗装から水が入り込むとコンクリートは劣化し、土砂化が進行していきます。
また、床版の土砂化は「舗装より下」で少しずつ進行していくため、早期発見が難しく、対策が困難である点も留意しておくべきです。
床版の土砂化の原因
続いて、床版の土砂化の原因について解説していきます。
前提として、土砂化が進行した床版には、さまざまな箇所で劣化、損傷が見られるため原因の特定が困難です。
一般に、床版の土砂化の原因としては下記があげられます。
- 輪荷重による舗装の疲労(水平ひび割れ)
- 雨水の侵入
- 塩害
- 凍害
- 凍結防止剤との化学反応(アルカリシリカ反応)
これらの原因が単独で土砂化を引き起こすのではなく、「輪荷重によりひび割れが生じ、そこから雨水が侵入し、さらにアルカリシリカ反応が起こり土砂化する」といった形で、複数の原因が連鎖して土砂化を引き起こします。
いずれにせよ、土砂化の入り口は「舗装の疲労による雨水の侵入」であることが非常に多いので、この点を効果的に対策していくことが求められます。
床版の土砂化の対策
一般に、床版の土砂化の対策には下記が存在します。
- 雨水が侵入しやすい歩道や打継ぎ目の接着性の向上
- コンクリートの打ち換え
- ひび割れへの目地注入
これらの対策を講じることで、土砂化の抑制、および解消には一定の効果が見られます。
また、これらの対策は床版の「補修」に分類され、コンクリートの打ち替えは「断面修復工法」、ひび割れへの目地注入は「ひび割れ注入工法」とも呼ばれます。
一方で、これまでの床版の土砂化への対策には、下記のような問題点が指摘されているのも事実です。
- 画一的な対応では複数の原因への対策が困難
- 対策をしてもすぐに別の箇所で土砂化が生じるので早期対策が必要不可欠
- 長期間に渡る交通整理を避けるために応急処置程度の対策しか実施されない
- 土砂化による強度低下から補修だけでなく「補強」も求められる
ご覧のように、従来の対策は「対症療法」としての側面が強かったため、原因への直接的な対策ができず、対策に次ぐ対策が求められていました。
また、床版の土砂化により床版全体、あるいは橋全体の強度に影響が出ている可能性も否定できないため、補修ではなく「補強」が求められるケースも存在するはずです。
つまり、床版の土砂化への対策には、「根本原因に対して土砂化する前に補修、補強を行う」ことが強く求められます。
補修と補強を同時に行える「スーパーホゼン式工法」
そこで提案したいのが、私たち「サン・ロード株式会社」が特許を持つ「スーパーホゼン式工法」です。
スーパーホゼン式工法は、下記の流れで作業を進めていきます。
- カッター溝をあけ樹脂導入路を造る
- テーパー付きT型アンカーで網鉄筋を床版下部に圧着固定する
- ポリマーセメントモルタルで床版下部と網鉄筋を全面接着する(補強)
- 超低粘度エポキシ樹脂を注入する(補修)
- 仕上げ作業を行う
ご覧のように、この工法では「網鉄筋の全面接着(補強)」「ひび割れへのエポキシ樹脂の注入(補修)」という形で、補強と補修を同時に行えます。
また、床版下面側から施工するため、交通規制をする必要がありません。
これ以外にも多数のメリットが存在するので、下記にまとめました。
- 樹脂導入路を事前に作ることで無数に存在する0.2mm未満のひび割れに対応できる
- アンカー、モルタルで鉄筋を床版下部に固定、接着することで振動による歪みを解消した状態で作業ができる
- 網鉄筋を強固に接着することで剥落の心配がない
- 使用する材料が軽量、かつ施工性に優れるので工期短縮、コスト軽減が期待できる
- 水漏れの有無を確認することで目視による点検が容易に可能
ご覧のように、補修、補強の精度が非常に高く、メンテナンス性にも優れ、さらにはコスト削減も期待できるという、画期的な工法です。
とくに土砂化が進行する前の、微細なひび割れが確認できる状態の床版に高い効果を発揮しますが、土砂化進行後でも有効な可能性があります。
本工法の詳細につきましては、「弊社カタログ」をご覧いただけますと幸いです。
まとめ
床版の土砂化は急激に進行し、原因の特定も難しいため、可能な限り早期の発見と、根本的な対策が求められます。
床版の強度低下は極めて重大な事故を引き起こすきっかけにもなり得るので、橋の状態を継続的かつ定期的に、注意深く点検することが大切です。
また、土砂化進行後の床版には、コンクリートの打ち換えや目地の注入などの補修工法が効果的ですが、同時に補強を行うことも忘れてはいけません。
補修と補強を同時に行える「スーパーホゼン式工法」について気になるお客様は、お問い合わせにて施行可否を含め、ご相談いただけますと幸いです。