床版補強の工法5選!従来の工法の課題を克服した新時代の工法とは?
橋梁のなかでも「車両や人を通過させる」「橋梁全体の安全性に関わる」という極めて重要な役割を担っているのが床版です。
床版には振動、荷重、気温などの物理的ストレスに加え、水分や塩分などの化学的ストレスが絶えずかかっているため、定期的なメンテナンスが欠かせません。
微細なひび割れが見られる程度なら耐久性を回復させる「補修工法」で問題ありませんが、大規模なひび割れや土砂化などが見られる場合は、耐荷性や耐久性を向上させる「補強工法」が求められます。
- 床版の補強工法5選
- 従来の補強工法の課題
- 課題を克服した新時代の補強工法
床版の補強に関わる上記の点を、床版補強のプロフェッショナルの視点でわかりやすく解説していきます。
床版の補強工法5選
まずは床版の補強工法を5つ紹介していきます。
- 上面増厚工法
- CFRP接着補強工法
- 鋼板接着補強工法
- 縦げた増設補強工法
- ツインプレート工法
これまで一般的に実施されてきている工法を取り上げたので、補強工法の選択にご活用ください。
上面増厚工法
すぐに作業が終わる軽微な補強作業や、交通整理がしやすい橋梁では、上面増厚工法と呼ばれる、床版上面を補強する工法が採用されます。
- 床版上面に補強材を埋設する工法
- 床版上面の作業なので足場などの設置が不要
- 交通整理が必要になる
補強材として使用されるのは炭素繊維を使って補強したコンクリートで、これを用いて床版を補強していきます。
足場の設置が不要なので作業員への負担がかからない施工性の高さは魅力ですが、交通整理が必要になるのでこの点がデメリットです。
鋼板接着補強工法
従来より活用されている鋼材を使った補強工法が、鋼材接着補強工法です。
- 床版下面と鋼板との間にエポキシ樹脂を注入し一体化させる
- 時間経過により床版と鋼板の剥離が生じる可能性がある
- 床版下部への作業なので交通整理が不要
床版の下面に補強効果の高い鋼材を接着させるというシンプルな工法であり、多くの橋梁の補強に採用されています。
一方で、昭和40年代後半に本工法により補強された橋梁が全国で60橋程度存在しますが、その多くで接着した鋼板の剥離、いわゆる「浮き」という現象が確認されています。
出典:土木技術支援・人材センター 大石雅登ほか|鋼板接着補強 RC床版の疲労耐久性および樹脂再注入の補修効果に与える剥離率と水の影響(都土木技術支援・人材育成センター年報 2021,1)
CFRP接着補強工法
炭素繊維で補強したコンクリートであるCFRPを床版下面に瞬間接着させ、床版を下面から補強するのがCFRP接着補強工法です。
- 床版下面に炭素繊維性プレートを接着させ一体化させる
- 炭素繊維は軽量かつコンパクトなので下面からでも作業しやすい
- 床版下部への作業なので交通整理が不要
CFRPの扱いやすさに加え、交通整理が不要なので、メリットに富む工法だといえます。
CFRPなどの炭素繊維は従来より積極的に使用されている鋼材と同等の補強効果を見せながら、鋼材補強工法に見られる「浮き」を防止できるというメリットもあり、今後より一層活用される補強材になっていくでしょう。
縦げた増設補強工法
床版そのものではなく、床版を支える「桁(けた)」を増設する工法がこちらの縦げた増設補強工法です。
- 耐荷性を大幅に向上させられる
- 桁を設置する上で力学的に問題がないか事前調査が必要
- 床版下面への作業なので交通整理が不要
耐荷性が大幅にアップする一方、大規模な工事が求められるためコストや工期をよく検討する必要があります。
また、桁を新たに設置することになると、橋梁全体に与える力学的な影響を計算しなければならないため、入念な事前準備が求められます。
ツインプレート工法
ひび割れや土砂化、さらには建設後の年数が大きく経過していると、補強ではなく「打ち換え」が求められるケースもあります。
しかし、打ち換えはコストがかかり、甚大な量の廃棄物を出すため、可能であれば打ち換えではなく補強を選択すべきです。
そこで候補にあがるのが「ツインプレート工法」です。
- 床版の上面と下面に鋼板を設置
- 設置した鋼板を貫通ボルトで連結
- 交通整理が必要
その名の通り、上面と下面のそれぞれに鋼板プレートを貫通ボルトを用いて設置、一体化します。
打ち換えの代替手段になり得る工法は少ないため、現場によっては活用の価値が大いにあるでしょう。
従来の床版の補強工法の課題とは?
上記5つの工法にはさまざまなメリットがある一方、下記に示すような課題も存在しています。
- 交通整理の必要がある
- 耐久年数が短い
- 点検が難しく床版内部の状況が理解しにくい
- 橋梁を通過する車両の影響により補強品質が落ちる
床版上面を補強する工法は足場の設置が不要であり、作業員にかける負担も少ない一方で、交通整理の必要があります。
交通整理を実施すると橋梁利用者からの批判につながるため、各自治体はできる限り交通整理を避けることを希望します。
一方、床版の裏面を補強する工法では交通整理の必要はありませんが、その代わり、床版上面を車両が通行することにより、絶えず床版全体が振動します。
振動するなかでの補強工事は補強品質を下げる要因となり、想定していたような強度を実現できないことも課題の一つでした。
また、補強工法の効果は永久に続くわけではないため、定期的な点検が求められます。
しかし、ひび割れや土砂化といった床版の劣化は床版内部で進行するため、劣化の評価がしにくいという課題も存在しています。
このように、床版の補強工法には理解しておくべき課題が存在するため、この点に注意して工法を選択することが大切です。
新時代の補強工法「スーパーホゼン式工法」とは?
ここからは、私たち「サン・ロード株式会社」が特許を保有する、次世代型の床版補強工法である「スーパーホゼン式工法」について解説していきます。
スーパーホゼン式工法のポイントは「補修と補強を同時に行う」「従来の工法の課題を克服している」という2点です。
スーパーホゼン式工法の作業手順
スーパーホゼン式工法は下記に示す作業手順に特徴があります。
- カッター溝をあけ樹脂導入路を造る
- テーパー付きT型アンカーで網鉄筋を床版下部に圧着固定する
- ポリマーセメントモルタルで床版下部と網鉄筋を全面接着する
- 超低粘度エポキシ樹脂を注入する
- 仕上げ作業を行う
はじめに、床版内部にカッター溝をあけて樹脂導入路を作成します。
次に、網鉄筋をT型アンカーを用いて床版下部に圧着固定します。
そして、固定した網鉄筋をポリマーセメントモルタルを使って全面接着していきます。
単にモルタルを使って接着し補強を行うのではなく、T型アンカーを使って事前に圧着固定しておくことで、車両の通行による床版全体の振動の影響を最小限に抑えながら工事を進めることが可能であり、この点が本工法の大きなメリットの1つです。
その後、超低粘度エポキシ樹脂を注入していき、補修工法に取り掛かっていきます。
樹脂の注入は従来の補修工法でも採用されてきましたが、事前に「カッター溝」を床版内部にあけておくことで、床版全体に無数に存在する微細なひび割れまで樹脂が入り込むように工夫してあるのも本工法のメリットです。
このように、スーパーホゼン式工法は微細なひび割れまで修復可能である補修、そして車両通過による影響を最小限に抑えながら網鉄筋を接着するという補強を同時に行い、従来の補修、補強工法が抱えていた課題を克服しています。
さらに、本工法ではセメントモルタルを使用しているため、「水が染み出してくる」といった目視による点検で床版内部の状況を正確にモニターすることが可能です。
床版内部の劣化を早期発見することは適切なメンテナンスを促し、ライフサイクルコストを大幅に削減します。
まさに、メリットに富んだ床版補修、補強工法なので、興味を持っていただけたお客様は弊社カタログをご覧くださいませ。
床版の補強ならサン・ロード株式会社にお任せを
床版の補強工法は複数存在しますが、それぞれの工法の特徴を押さえた上で、現場に合った工法を採用すべきです。
一方、それぞれの工法には課題が存在するため、それらを事前に把握しておくことも求められます。
私たち「サン・ロード株式会社」が特許を保有するスーパーホゼン式工法は補修と補強を同時に行うため、さまざまな現場にマッチする工法です。
本工法に興味を持っていただけたお客様は、施工可否やコスト感など含め、些細なことでも構いませんのでお問い合わせいただけますと幸いです。