サン・ロード株式会社

橋の老朽化の原因や対策とは?橋の専門業者が補修・補強工法を解説

日本の橋の多くは高度経済成長期の建設ラッシュ時に建設され、その橋の大半が老朽化という問題に直面しています。

しかし、橋の老朽化の原因の把握や対策の徹底は進んでいないため、このままでは国民の生活が危険に晒されてしまいます。

  • 日本の橋の老朽化の現状
  • 橋の老朽化の原因と対策
  • 画期的な橋の補修・補強工法

橋の老朽化に関する上記の点について、橋梁補修、補強の専門業者の視点でわかりやすく解説していきます。

日本の橋の老朽化の現状とは?

正面から見た橋

まずは、日本の橋の老朽化の現状について解説していきます。

  • 建設後50年を迎える橋梁の割合が2030年に入ると急激に増加
  • 9割の橋梁が地方公共団体の管轄なので維持修繕費に回す予算がない
  • 自治体の建設課に技術職員がおらず事務職員しかいないケースが多い

上記のように、日本の橋を取り巻く現状はお世辞にも良いとはいえず、大きな危機感を持って対処すべきです。

橋の寿命の目安は「50年」といわれており、アメリカでは1900年代初頭に建設された橋の多くがその50年後から60年後に渡り相次いで崩落の憂き目にあいました。

日本の橋の多くは高度経済成長期に建設され、それらの橋の多くは2030年に入ると一斉に建設後50年を迎えるため、2030年に入る前に適切な対策を実施することが急務です。

しかし、日本の橋の9割は地方公共団体の管轄であり、橋の点検や補修、補強に回せる予算はおろか、技術職員すら不在の自治体が存在するため、「補修、補強をしたくてもできない」という苦しい現状が浮かび上がってきます。

橋の老朽化の原因

横から見た橋

続いて、橋の老朽化の原因について解説していきますが、考えられるものとしては下記の通りです。

  • 経年劣化
  • メンテナンスの不足、不備
  • 水分、塩分、紫外線、化学成分などによる環境要因
  • 橋梁の建設基準の見直し
  • 車両重量の増加
  • 大規模災害の増加

このうち、建設基準の見直しや車両重量、大規模災害の増加については、建設当時想定していない要因であるため盲点となりがちです。

たとえば、車両重量については橋梁の建設ラッシュだった1960年当時の普通車はおよそ「1,250kg」だったのに対し、2020年現在は「2,000kg弱」まで大幅に増加しています。

出典:一般社団法人 日本アルミニウム協会 – アルミ化予測 乗用車の車両総重量と車両全長の推移

当初の想定の1.5倍以上の荷重が橋にかかっていると考えれば、老朽化が想定以上のスピードで進んでもおかしくありません。

橋の老朽化の対策

ポリマーセメントモルタルの吹き付け

ポリマーセメントモルタルの吹き付け

橋の老朽化の対策には、下記の3点が有効です。

  • 国土交通省の「損傷マップ」を活用する
  • 定期的に質の高い検査を実施する
  • 症状に合わせた補修・補強を実施する

それぞれの点について、専門業者の視点で解説していきます。

国土交通省の「損傷マップ」を活用する

日本全国にはおよそ73万の橋が存在しているため、橋の損傷状態の確認を網羅的に行わなければ対策のしようがありません。

そこで活用すべきなのが、国土交通省が提供している「全国道路施設点検データベース」である「損傷マップ」です。

このデータベースでは、全国の道路橋やトンネル、横断歩道橋などの道路構造物の損傷を網羅的、かつマップ上で確認できます。

山口県の道路橋の損傷度

山口県の道路橋の損傷度
出典:国土交通省 – 全国道路施設点検データベース

こちらは、実際にデータベースを使って、私たち「サン・ロード株式会社」の本社がある山口県山口市を表示した画像です。

画像中には青、緑、黄、赤で道路橋の位置がプロットされており、青から赤の順番で老朽化が進んでいることを示しています。

また、それぞれの橋をクリックすると、橋に関する詳細な情報が表示されます。

非常に使いやすいデータベースなので、橋の老朽化を評価する上での1つの判断材料として活用すると良いでしょう。

定期的に質の高い検査を実施する

先述のように、建設当時は想定していなかった負荷が橋にかかっているため、定期的に質の高い検査を実施することが求められます。

検査方法は橋に手で触れられる箇所まで近づく「近接目視」が基本です。

しかし、橋の老朽化の大部分は「床版の内部」で進行するため、老朽化を見抜けないケースも決して少なくありません。

したがって、「検査しやすい建設、補強方法」にて橋を建設、補強していくことが、橋の老朽化対策につながります。

なお、橋の床版について理解を深めたい方は、「橋の床版ってどんなもの?専門業者が構造や建設方法をわかりやすく解説します」こちらの記事をご覧ください。

症状に合わせた補修・補強を実施する

橋が老朽化していることが確認できた場合、症状に応じて下記のように対応します。

  • 補修
  • 補強
  • 打ち換え

床版を丸ごと入れかえる打ち換えは最も安全性が高い一方で、建設コストや廃棄物が甚大です。

したがって、下記に示す補修、補強を行うことが一般的です。

【補修】
劣化を抑え、耐久性を回復、向上させる

  • ひび割れ注入工法
  • 断面修復工法

【補強】
耐久性だけでなく、耐荷性など力学的性能も回復、向上させる

  • 上面増厚工法
  • 鋼板接着工法
  • CFRP接着工法
  • 縦桁増設工法

ご覧のように、補修は「耐久性を回復」させるのが主目的であり、床版内部に軽微なひび割れが確認できる場合に実施します。

一方、床版内部に大規模かつ無数のひび割れ、さらには土砂化が確認できた場合は、耐久性や対荷性を「向上」させる補強を実施します。

参考:床版は橋を支える欠かせない存在!建設方法や補修方法を専門業者の視点で徹底解説

床版の補修と補強を同時に行う「スーパーホゼン式工法」とは?

スーパーホゼン工法の手順

スーパーホゼン工法の手順

橋の老朽化対策として床版の補修、補強が有効であることを解説しましたが、従来の補修、補強工法には下記のようなデメリットがありました。

  • 交通整理の必要がある
  • 耐久年数が短い
  • 点検が難しく床版内部の状況が理解しにくい
  • 橋梁を通過する車両の影響により補強品質が落ちる

たとえば、補強工法の1つである「鋼板接着工法」では、接着した鋼板が剥離する「浮き」という現象が昭和40年代後半に本工法を施工した橋で確認されています。

出典:土木技術支援・人材センター 大石雅登ほか|鋼板接着補強 RC床版の疲労耐久性および樹脂再注入の補修効果に与える剥離率と水の影響(都土木技術支援・人材育成センター年報 2021,1)

これは、補強後のメンテナンスや点検がしにくく、早期発見がしにくいことに起因します。

したがって、補修、補強工法は、その効果はもちろんのこと、その後のメンテナンス性まで考慮して施工する必要があります。

私たち「サン・ロード株式会社」が特許を持つ「スーパーホゼン式工法」には、下記のようなメリットが存在します。

スーパーホゼン式工法の説明

スーパーホゼン式工法の説明

  • 樹脂導入路を事前に作ることで無数に存在する0.2mm未満のひび割れに対応できる
  • アンカー、モルタルで鉄筋を床版下部に固定、接着することで振動による歪みを解消した状態で作業ができる
  • 補修(ひび割れの修復)と補強(網鉄筋の接着)を同時に行える
  • 網鉄筋を強固に接着することで鋼板接着工法のような剥落の心配がない
  • 使用する材料が軽量、かつ施工性に優れるので工期短縮、コスト軽減が期待できる
  • 水漏れの有無を目視で点検し早期発見によるライフサイクルコストの削減が可能

以上のように、補修と補強を行いながら、目視による点検を可能にし、さらに施工コスト、施工後のライフサイクルコストを削減する、画期的な工法です。

本工法に興味を持っていただけたお客様は、弊社カタログをご覧ください。

橋の老朽化対策ならサン・ロード株式会社にお任せください

橋の老朽化は日本が抱える喫緊の課題であり、原因の把握、対策の徹底が求められます。

床版の補修、補強を適切なタイミングで実施することで、橋の寿命を伸ばすことが可能です。

一方、従来の補修、補強工法にはコストや点検のしやすさという点でデメリットがありました。

私たち「サン・ロード株式会社」が特許を保有する「スーパーホゼン式工法」は、従来の工法にあったデメリットを克服した、画期的な工法です。

橋の老朽化対策を実施したいお客様は、弊社カタログをご覧いただくか、お問い合わせにて施工可否やコスト感を伺っていただけますと幸いです。