サン・ロード株式会社

下面増厚工法とは?特徴やメリットを専門業者がわかりやすく解説

高度成長期(1960〜70年代)に建設された国内の橋梁は、コンクリート構造物の寿命とされる「50年」を迎えつつあり、耐久性を復元、あるいは向上させる補修、補強が急務となっています。

こうした課題を解決するため、現在、多くの現場で採用されているのが床版下面に施工する「下面増厚工法」です。施工実績の多さから、橋梁補修や補強の現場で注目されています。

  • 下面増厚工法の概要
  • 下面増厚工法のメリット
  • 下面増厚工法を進化させた「スーパーホゼン式工法」

この記事ではこれらの点について、橋梁補修、補強の専門業者の視点でわかりやすく解説していきます。

下面増厚工法とは?特徴や目的

樹脂の注入

樹脂の注入

下面増厚工法とは、床版下面の厚みを増すことで、橋梁の耐久性や耐荷性を向上させる工法です。

上面を通過する車両による載荷重や振動が絶えず床版にはかかっているため、下面を補強することで劣化を抑え、長寿命化を図ることが可能です。

下面増厚工法にはいくつかのバリエーションがあり、従来型のモルタルを使用するものや、特殊ポリマーを用いる手法などがあります。

いずれにも共通しているのは「床版下面に鉄筋を設置し、ポリマーセメントモルタルを吹き付けて増厚する」という点です。

耐荷性、耐久性の向上を目的とするため、補修ではなく補強目的で施工されることが一般的です。

下面増厚工法のメリット

ポリマーセメントモルタルの吹き付け

ポリマーセメントモルタルの吹き付け

下面増厚工法は、補強効果の高さや施工性の良さから、多くの現場で採用されています。ここでは主なメリットについて解説します。

  1. 高い補強効果がある
  2. 橋梁の交通整理が必要ない
  3. コテ塗りではなく吹き付けのため施工性に優れる
  4. 天候に左右されず工事できる

1.高い補強効果がある

下面増厚工法の最大のメリットは、その高い補強効果です。特に、老朽化が進んだ橋梁や、重交通が多いエリアでは、床版の耐久性を根本的に改善する必要があります。

下面増厚工法では、鉄筋とポリマーセメントモルタルを組み合わせることで、床版の強度を飛躍的に向上させること可能です。

実際、国土交通省や各地の自治体による検証では、この工法が床版の劣化抑制や耐久性向上に有効であることが示されています。

また、弊社が特許を持つ「スーパーホゼン式工法」についても、国土交通省近畿地方整備局をはじめとする、さまざまな省管轄機関で高い評価を得ています。

参考:床版下面増厚工法による橋梁長寿命化対策の施工とその効果検証方法について – 国土交通省近畿地方整備局

2.橋梁の交通整理が必要ない

河川が多い日本において橋梁は交通の要衝であり、たった一つの橋梁が通行止めになるだけで、周辺地域の交通網が大きく乱れることも珍しくありません。

こうしたことが背景となり、橋梁補修、補強による交通整理をできるだけ避けることが、これからの時代では求められます。

その点、下面増厚工法は床版下面に対して施工するため、車両が通行する上面部分への影響がほとんどありません。このため、交通整理を行わずに工事が進められるのが大きな特徴です。

特に、都市部の幹線道路や交通量が多い橋梁においては、この利点が大きなメリットとして挙げられます。交通渋滞や通行止めによる二次的な経済損失を防ぎながら、安全かつ効率的に工事を進めることが可能です。

3.コテ塗りではなく吹き付けのため施工性に優れる

下面増厚工法では鉄筋をポリマーセメントモルタルで固定することで補強を行いますが、このとき、ポリマーセメントモルタルはコテ塗りではなく吹き付けで施工されます。

コテ塗りは作業員が細かな動作を繰り返す必要があり、技術の習熟度によって施工品質が左右され、工期スケジュールが乱れることも少なくありませんでした。

一方、吹き付け方式は均一な施工を短時間で行うことができ、品質が一定に保たれやすい特徴があります。

さらに、吹き付け方式は狭小部や複雑な形状の床版下面にも対応しやすく、従来の方法では難しかった箇所にも施工が可能です。これにより、工期の短縮やコスト削減を実現し、施工現場における総合的な効率向上に繋がっています。

4.天候に左右されず工事できる

従来の補修・補強工法では、施工面が雨や風にさらされることがしばしばありました。そのため、悪天候が続く場合には工期が延び、施工計画に支障をきたすことも少なくありませんでした。

下面増厚工法は床版下面に施工するため、降雨など天候による影響を受けることがほとんどありません。梅雨の時期や台風シーズンでも、計画通りに施工を進めることが可能です。

さらに、天候に左右されないことは、工期の安定化だけでなく、予算管理の観点からも重要です。悪天候による中断や追加コストが発生しないため、全体の施工計画を効率的に管理することが可能です。こうした施工の安定性が求められる現場において、下面増厚工法は非常に有用な選択肢となります。

下面増厚工法を進化させた「スーパーホゼン式工法」とは?

以上のように、下面増厚工法はメリットの多い工法ですが、一方で施工品質や耐久性にばらつきが生じるなどの課題も存在しました。

そこで、私たち「サン・ロード株式会社」では、これらの課題を克服し、施工効率と品質を大幅に向上させる「スーパーホゼン式工法」を開発し、特許を取得しました。

本工法は以下の流れで進めていきます。

  1. カッター溝をあけ樹脂導入路を造る
  2. テーパー付きT型アンカーで網鉄筋を床版下面に圧着固定する
  3. ポリマーセメントモルタルで床版下面と網鉄筋を全面接着する
  4. 超低粘度エポキシ樹脂を注入して全断面で一体化する
  5. 仕上げ作業を行う

以下では、この一連の施工フローに隠された「スーパーホゼン式工法」のメリットを詳しく解説します。

アンカーで網鉄筋を圧着固定し施工品質を高めている

どのような下面増厚工法にも共通するのが「鉄筋を床版下面に固定する」点ですが、施工中は床版上面を車両が通過し、橋梁全体が絶えず振動しています。

このようななかで施工品質を保つのは想像以上に難しいものですが、本工法では「テーパー付きT型アンカー」を用いることでこれを克服しています。

テーパー付きT型アンカー

テーパー付きT型アンカー

以上画像のように、テーパーと呼ばれる「くさび」が付いた特殊なアンカーで既設床版と網鉄筋を「圧着固定」することで、絶えず振動する床版と鉄筋の挙動を完全に一致させることが可能です。

これにより施工品質が格段に上がり、本工法による想定強度の再現性を大きく高めることに成功しています。

超低粘度エポキシ樹脂の注入で補強と補修をセットで実施できる

一般的に、床版は内部のコンクリートがひび割れを起こし、これが原因となり耐久性が低下していきます。

一方、従来の下面増厚工法ではひび割れの修復、すなわち補修は行わず、あくまで補強のみを行っていました。

しかし、本工法では施工フローのなかにひび割れの修復を組み込んでいるため、補修と補強をセットで行える点が大きな強みです。ひび割れ補修費用が 別途掛かりませんので経済的です。

事前に樹脂導入路となるカッター溝をあけておき、作業終盤に超低粘度エポキシ樹脂を注入することで、以上の画像のように「0.05mm未満」の微細なひび割れも漏れなく修復できます。

既設床版と完全一体化し耐久性をより高められる

本工法では、網鉄筋をテーパー付きT型アンカーで既設床版と固定し、さらにポリマーセメントモルタルにて全面接着をさせます。

さらに、超低粘度エポキシ樹脂により微細な空隙、ひび割れ、そして施工により出来る空間(鉄筋の背面、アンカーピンの削孔穴など)を充填するため、既設床版と強固に一体化した「極めて密な増厚断面」に仕上げることが可能です。

事実、旧建設省土木研究所との共同試験において、以上の画像に示すように、従来の工法よりも密に一体化していることが証明されています。

床版の補修・補強なら「サン・ロード株式会社」にお任せください

下面増厚工法は交通整理が不要で、施工性も高い優れた橋梁補強の工法です。

一方、従来の工法には課題も存在しているため、長所、短所を総合的に評価して、施工をすることが求められます。

私たち「サン・ロード株式会社」では、従来の下面増厚工法を進化させた画期的な工法「スーパーホゼン式工法」を施工しています。

本工法に興味を持っていただけたお客さまは「カタログ」をご覧いただくか、施工可否やコスト感を含め「お問い合わせ」にてご相談いただけますと幸いです。