サン・ロード株式会社

橋の床版ってどんなもの?専門業者が構造や建設方法をわかりやすく解説します

橋の床版は人や車両を通過させるだけでなく、橋全体の強度を保つ上でも極めて重要な役割を担っています。

とりわけ、今後日本では2030年を過ぎると過去に建設された多くの橋がメンテナンスが必要な状態に入るため、床版に関する知識をつけておくことが強く求められます。

  • 床版の概要
  • 床版の劣化要因
  • 床版の補修、補強工法

床版に関する上記の点について、専門業者の視点でわかりやすく解説していきます。

床版とは?役割、構造、建設方法を解説

小さな橋梁

小さな橋梁

はじめに、床版の役割や構造など、床版の概要について解説していきます。

床版は「しょうばん」と読み、橋の床板(ゆかいた)を指す用語のことです。

他にも、水路の上蓋を床版と呼ぶことがありますが、本記事では橋の床版について集中的に取り上げます。

床版の役割や構造

床版にはさまざまな役割が存在しています。

  • 車両や人が安全に通過できる路面を提供する
  • 橋にかかる荷重を橋脚、橋桁に伝える
  • 橋脚や橋桁が腐食しないよう水を食い止める

ご覧のように、車両や人が通過するための場所を提供するのはもちろんのこと、荷重の分散、さらには腐食の防止など、橋の中心的な役割を担う部位であることがわかります。

このような理由から、床版には高度な耐久性が求められるため、コンクリートと鉄筋を組み合わせた「RC造(鉄筋コンクリート造)」であることが一般的です。

RC造は鉄筋が持つ引張力(引っ張る力)に強い性質と、コンクリートの持つ圧縮力に強い性質を兼ね備えているため、常に両者の力が加わる床版に最適な構造だといえます。

床版の建設方法

床版の建設方法は現場や建設する橋の構造によって細かく変わりますが、基本的に下記の流れに沿って建設されます。

  1. 型枠を橋脚の上に設置する
  2. 鉄筋を並べて固定する
  3. 生コンクリートを充填し養生する
  4. 壁高欄や中央分離帯を設置する
  5. 防水処理を実施する

なお、床版を建設する前の建設工程である「橋脚の建設」、および床版を建設した後の建設工程である「床版上面(道路)の仕上げ作業」は、別の業者が担当することも珍しくありません。

したがって、床版を建設する際は、前後の担当業者との丁寧な引き継ぎ作業を実施することが求められます。

床版の役割や構造、建設方法については、「床版は橋を支える欠かせない存在!建設方法や補修方法を専門業者の視点で徹底解説」にて詳しく解説しています。

床版の劣化要因と補修・補強工法

四万十川橋

四万十川橋

日本全国の橋の数はおよそ70万橋存在しますが、そのうちの67%が2033年に建設後50年を迎えることが明らかになっています。

出典:(https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/yobohozen/yobo1_1.pdf)

かつてアメリカでは、建設ラッシュだった1920年代に作られた橋の多くが、60年後の1980年代に次々と損壊し、これは「荒廃するアメリカ」と呼ばれました。

したがって、日本においては、今後床版の建設よりも「床版の補修、補強」の需要が急激に高まることが予想されます。

床版の劣化要因は「ひび割れと土砂化」

では、床版が劣化する要因にはどういったものがあげられるのでしょうか?

要因にはさまざまなものがあげられますが、基本的には下記の流れで床版の劣化が進んでいきます。

  1. 床版にひび割れが生じる
  2. 床版が土砂化する
  3. その他の要因が連鎖的に生じる
  4. 劣化が急激に進行する

ポイントは「劣化が急激に進行する」点です。

床版のひび割れや土砂化は「床版内部」で進行するため、目視による検査はもちろん、専用の機材を使用した検査でも劣化が見抜けないケースがあります。

事前に劣化を把握していないと、最悪の場合は唐突に橋全体が崩落する可能性もあるため、入念な検査が欠かせません。

なお、床版のひび割れと土砂化の詳細については、下記の2つの記事で詳しく解説しています。

参考:床版のひび割れの原因6選!専門業者の視点でわかりやすく解説します

参考:床版の土砂化の原因と対策とは?専門業者の視点でわかりやすく解説

床版の補修、補強工法とは?

床版がひび割れや土砂化で劣化した場合、手遅れのケースでは打ち換えが必要ですが、早期発見による補修や補強で寿命を伸ばすことができます。

補修と補強は似た用語ですが、両者が持つ意味、および工法は大きく異なります。

【補修】
劣化を抑え、耐久性を回復、向上させる

  • ひび割れ注入工法
  • 断面修復工法

【補強】
耐久性だけでなく、耐荷性など力学的性能も回復、向上させる

  • 上面増厚工法
  • 鋼板接着工法
  • CFRP接着工法
  • 縦桁増設工法

ご覧のように、補修は「耐久性」のみを改善するのに対し、補強は耐久性はもちろん「耐荷性」などの力学的な性能も改善します。

補修と補強のどちらが求められるのかはケースバイケースではあるものの、軽微なひび割れや土砂化なら補修で対応し、劣化が進行しているなら補修に加えて補強が求められます。

なお、床版の補修や補強については、「床版の補修や補強の工法7選!専門業者の視点で徹底解説」で詳しく解説しています。

床版の補修と補強を同時に行う「スーパーホゼン式工法」

床版の劣化は、目に見えない形で床版内部で進行しているため、劣化度合いの評価が極めて難しいです。

したがって、床版の補修や補強は「どちらか一方を実施すれば良い」といった画一的な対応ではなく、「補修と補強を同時に行う」ことが理想的です。

しかし、現実には下記のような要因で大規模な補修工事、補強工事が見送られるケースが多いのが問題だといえます。

  • コストがかかる
  • 交通整理や通行止めが必要
  • 床版上面を車両が通過しながらの工事難易度が高い

こういった床版工事に関する懸念点を克服すべく、私たち「サン・ロード株式会社」は画期的な工法である「スーパーホゼン式工法」を考案し、すでに特許を取得しています。

スーパーホゼン式工法の施工の流れ

スーパーホゼン式工法の最大の特徴は「補修と補強を同時に行える」点です。

そして、これを実現している要因は下記に示す「施工手順」にあります。

スーパーホゼン工法の手順

スーパーホゼン工法の手順

  1. カッター溝をあけ樹脂導入路を造る
  2. テーパー付きT型アンカーで網鉄筋を床版下部に圧着固定する
  3. ポリマーセメントモルタルで床版下部と網鉄筋を全面接着する(補強)
  4. 超低粘度エポキシ樹脂を注入する(補修)
  5. 仕上げ作業を行う

ご覧のように、カッター溝へのエポキシ樹脂の注入という「補修」と、網鉄筋の全面接着という「補強」をセットで行っていることがわかります。

これは、従来の工法にはなかったスーパーホゼン式工法のメリットの1つです。

スーパーホゼン式工法のメリット

補修と補強を同時に行えること以外にも、スーパーホゼン式工法にはさまざまなメリットが存在しています。

  • 樹脂導入路を事前に作ることで無数に存在する0.2mm未満のひび割れに対応できる
  • アンカー、モルタルで鉄筋を床版下部に固定、接着することで振動による歪みを解消した状態で作業ができる
  • 補修(ひび割れの修復)と補強(網鉄筋の接着)を同時に行える
  • 網鉄筋を強固に接着することで鋼板接着工法のような剥落の心配がない
  • 施工後の損傷度を目視で確認できる
  • 使用する材料が軽量、かつ施工性に優れるので工期短縮、コスト軽減が期待できる

補修と補強を同時に行いながら、微細なひび割れに対応し、施工性、メンテナンス性、さらにはコストにも優れるなど、そのメリットを一言では表せない画期的な工法です。

スーパーホゼン式工法についてより詳しく知りたいお客様は、「弊社カタログ」をご覧ください。

まとめ

床版は人や車両を通過させるだけでなく、橋の耐久性にも関わる極めて重要な役割を持っています。

今後、日本全体で橋の補修、補強ラッシュが訪れることが予想されるので、床版の構造や補修、補強工法について理解しておくことは極めて重要です。

床版の補修や補強について興味があるお客様は、「お問い合わせ」にてお話を聞かせていただけますと幸いです。

スーパーホゼン式工法の施工可否を含めて、真摯に対応いたします。