サン・ロード株式会社

床版のひび割れの原因6選!専門業者の視点でわかりやすく解説します

床版のひび割れを発見するのが遅くなると、施工に必要なリソースは増大し、最悪の場合は打ち換えやかけ直しが必要なこともあります。

したがって、床版のひび割れ対策には「原因の把握」をしておくことが求められます。

床版のひび割れの代表的な6つの原因と有効なひび割れ対策について、専門業者の視点でわかりやすく解説していきます。

床版のひび割れの原因6選  橋梁の床版がひび割れている様子

床版のひび割れには、下記の6つの原因が考えられます。

  • 輪荷重
  • 凍害
  • 塩害
  • アルカリシリカ反応
  • 中性化
  • 施工に関する原因

これら6点について、それぞれ整理していきましょう。

輪荷重

床版のひび割れの原因で最も一般的なのが、輪荷重による床版の疲労です。

言うまでもなく、床版には絶えず通過車両による荷重がかかっていますが、「荷重のかかり方」は下記の3つの観点で分類できます。

  1. 衝撃や振動による動的な荷重
  2. 継続的、反復的に生じる集中荷重
  3. タイヤとの接触部分に集中して生じる応力(抵抗力)

当然、上記3点について考慮した上で設計、施工されますが、交通量の増加、車両重量の増大により、想定していたよりも早くひび割れが生じるケースが多いです。

したがって、設計時の荷重対策を信用しすぎず、ひび割れが生じていないか細心の注意を払うことが求められます。

凍害

国内の寒冷地で見られる床版のひび割れの原因としてあげられるのが「凍害」です。

凍害は下記の3つのステップにより進行していきます。

  1. コンクリート中の水分が凍り体積が9%増大し膨張圧が生じる
  2. 氷が水に戻り体積が減少し応力が生じる
  3. 1と2を繰り返しひび割れが生じる

水は液体よりも個体の方が体積が大きいので、「液体→個体」「個体→液体」の体積変化を繰り返すことで、コンクリートに疲労が蓄積していきひび割れが生じます。

したがって、「排水性能の確保」「冬季の寒暖差の把握」を徹底することで、凍害を予防することが対策として有効です。

塩害

島国である日本は、国土を海に囲まれているため「塩害」にも注意しなければいけません。

塩害は下記の3つのステップにより進行していきます。

  1. 塩化物イオンにより鉄筋が劣化する
  2. 鉄筋に錆が生じる
  3. 錆による体積増大でひび割れが生じる

メカニズム自体はシンプルで、鉄筋に錆が生じることにより体積が増大し、増えた分だけコンクリートに負担がかかり、結果的にひび割れが生じます。

また、塩害を引き起こす塩化物イオンは、下記の要因によりもたらされます。

  • 凍結防止剤
  • コンクリートの骨材(砂利等)

したがって、海に近い沿岸部や凍結防止剤を頻繁に使用する寒冷地では、とくに塩害によるひび割れに注意する必要があるといえるでしょう。

アルカリシリカ反応

アルカリシリカ反応と呼ばれる、コンクリート中で起こる化学反応が原因でひび割れが生じることもわかっています。

凍害や塩害は名前から比較的イメージしやすいですが、アルカリシリカ反応は少しイメージがしにくいかもしれません。

ですが、メカニズムそのものはシンプルなので、下記にまとめました。

  1. コンクリート中でアルカリ成分とシリカが化学反応を起こす
  2. 化学反応により膨張性のゲルが生じる
  3. ゲルが水分を吸収し体積が増大してひび割れが生じる

凍害や塩害と同様に、コンクリート内部の物体の体積変化により圧力がかかり、最終的にひび割れが生じます。

原因物質となるアルカリは、主に凍結防止剤に由来します。

とくに平成初期にスパイクタイヤが禁止されてから凍結防止剤が多用されるようになり、その後アルカリシリカ反応による床版のひび割れが頻繁に確認されるようになりました。

中性化

続いて取り上げる床版のひび割れの原因が「中性化」です。

中性化は塩害と似ており、鉄筋の劣化によりひび割れが生じやすくなります。

鉄筋の劣化が生じるまでのメカニズムが塩害とは異なるため、下記にまとめました。

  1. 空気中の二酸化炭素とコンクリート中の水酸化カルシウムが化学反応を起こす
  2. 炭酸カルシウムが生じpHが低下することで鉄筋の防錆作用が低下する
  3. 錆による体積増大でひび割れが生じる

原因物質の二酸化炭素は地域に関係なく空気中に存在するため、どのような橋でも中性化によるひび割れは生じると考えた方が良いでしょう。

施工に関する原因

最後に取り上げるのが「施工に関する」原因ですが、代表的なものとして下記があげられます。

  • 床版が薄い(とくに1971年以前)
  • 配力筋が足りない(とくに1967年以前)
  • 低品質なコンクリートの使用
  • コンクリートを打設するときの施工不良

これらの原因の大半は、現代の施工基準や施工方法に従って建設された床版では起こる可能性が低いですが、過去の床版では事情が異なります。

たとえば、「床版が薄い」という原因については、耐震基準が見直された1971年より前の床版で懸念されます。

1968年に起きた十勝沖地震を背景に1971年に建築基準法が改正されているので、「時代の変化」により施工基準や施工方法は大きく変わると考えておきましょう。

したがって、今は安全だとされている現代の床版が、10年後、20年後、そして100年後に安全であるかはわかりません。

ゆえに、「どのような床版にもひび割れが生じる可能性がある」ことを念頭に置き、日々のメンテナンスを行うことが大切です。

床版のひび割れに有効な「スーパーホゼン式工法」とは?

床版のひび割れには、それぞれの原因に合った対策を講じることが必要です。

ひび割れ対策には、ひび割れに樹脂を注入し接着性を高める「ひび割れ注入工法」が有効ですが、あくまでこの工法では「ひび割れの補修」しかできず、ひび割れにより低下した床版全体の強度の向上、すなわち「補強」はできません。

そこで効果的な工法としてあげられるのが、私たち「サン・ロード株式会社」が特許を保有する「スーパーホゼン式工法」です。

この工法は、下記の流れに従って施工を行います。

スーパーホゼン工法の手順

スーパーホゼン工法の手順

  1. カッター溝をあけ樹脂導入路を造る
  2. テーパー付きT型アンカーで網鉄筋を床版下部に圧着固定する
  3. ポリマーセメントモルタルで床版下部と網鉄筋を全面接着する(補強)
  4. 超低粘度エポキシ樹脂を注入する(補修)
  5. 仕上げ作業を行う

上記の通り、スーパーホゼン式工法では「ひび割れへのエポキシ樹脂の注入(補修)」というひび割れ対策だけでなく、「網鉄筋の全面接着(補強)」という形で、補強と補修を同時に行えます。

また、「樹脂導入路を事前に作ることで無数に存在する0.2mm未満のひび割れに対応できる」という特徴を持っているので、従来式のひび割れ対策よりも高精度な施工が可能です。

他にもさまざまなメリットが存在する工法なので、興味を持っていただけたお客様は「弊社カタログ」をご覧ください。

まとめ

日本国内には補修、補強が必要な橋が今後急増するので、床版の劣化の最大要因である「ひび割れ」の原因を理解することが非常に重要です。

記事中で紹介した代表的な床版のひび割れの原因6つを把握した上で、床版の適切なメンテナンスを講じることが求められます。

また、弊社が特許を保有するスーパーホゼン式工法は、ひび割れが確認される床版への補修、補強工法として有効です。

施工可否を含めて、興味を持っていただけたお客様は「お問い合わせ」にてご相談いただけますと幸いです。