コア抜きで鉄筋切断を避ける方法4選!切断した場合の対処法も解説します
コア抜きはあらゆる建設現場にて実施される作業の1つですが、常に注意を払わなければいけないのが「鉄筋の誤切断」です。
鉄筋を誤って切断してしまうと、場所によっては構造物全体の強度を低下させる恐れがあり、取り返しのつかないことになる可能性があります。
- 鉄筋切断の問題点
- 鉄筋切断を避けてコア抜きをする方法
- 鉄筋を切断したときの対処法
記事を通してこういった点を整理できるよう、専門業者の視点でわかりやすく解説していきます。
コア抜き時の鉄筋切断の問題点
コア抜き時に鉄筋を誤って切断してしまうと、どのような問題が生じるのかを知っておくことは極めて重要です。
生じる問題は複数存在しますが、代表的なものを下記にまとめました。
- 強度低下
- 資産性低下
- 自社負担での建て替えまたは補修補強
そもそも鉄筋は構造物の強度を向上させるために挿入されているので、切断することで強度が低下することは明らかです。
人命に関わるのはもちろんのこと、もし鉄筋の誤切断が発覚した場合、構造物の資産性の低下は避けられません。
また、誤切断の位置や規模によっては、最悪の場合「建て替え」が必要なこともあります。
実際、過去に不適切なコア抜きが発覚し、施工会社が自社負担にて解体から建て替えまで行ったケースがあります。
言うまでもなく損失は計り知れないので、コア抜きは慎重に慎重を重ねて実施することが求められます。
鉄筋切断を避けてコア抜きをする方法
このように、鉄筋の誤切断は致命的な問題を生じさせる可能性があるため、可能な限り鉄筋切断を避けてコア抜きをすることが大切です。
ここでは、下記4つの方法を提案しています。
- 建設前にスリーブ工法を入念に実施する
- 鉄筋の位置を事前に検査する
- ノロの出具合を確認しながらコア抜きを行う
- ウォータージェット工法を用い非破壊でコア抜きをする
いずれも有用な方法なので、順番に確認していきましょう。
建設前にスリーブ工法を入念に実施する
基本的にコア抜きは構造物に「後付けで穴を開ける」作業のことを指します。
正当な理由があればコア抜きは認められるべきですが、穴を開ける必要がある箇所には鉄筋を挿入するより前に穴を開けておくに越したことはありません。
そして、構造物に「事前に穴を開ける作業」のことをスリーブ工法と呼びますが、スリーブ工法を入念に実施することで、誤切断のリスクを負ってまでコア抜きをする必要はなくなります。
事実、過去に起きた不適切なコア抜きによるマンションの建て替え事例では、「スリーブの入れ忘れ」が原因であることが明らかになっています。
したがって、「安全にコア抜きをする」ことの前に、「コア抜きをできる限りしない環境を整える」ことを強く意識することが大切です。
鉄筋の位置を事前に検査する
スリーブ工法を入念に実施したとしても、「建設当時と基準が変わって耐震等の補強工事で穴を開けたい」などケースもあります。
そういった場合、鉄筋の位置を事前に検査することで誤切断のリスクを最小限に抑えることが可能です。
鉄筋の位置の検査には、下記の2つの機械を使用します。
【鉄筋探査機】
- 最も一般的な鉄筋探査方法
- コンクリート表面を移動させるだけで探査できる
- 機材、人件費ともにレントゲン探査よりも安価
- レントゲン探査よりも精度が落ちる
【レントゲン探査】
- より高精度な鉄筋探査方法
- 表面にX線照射機を、裏面にプレートを配置し探査する
- 有資格者のもとでの作業が必須
- 機材、人件費ともに鉄筋探査機よりも高価
両者ともにメリットとデメリットが存在するため、現場や構造物の状態に合わせた使い分けが求められます。
また、探査機を使用しても「鉄筋と配管の重なり」「誤検知」などが起きる可能性は否定しきれず、100%安全とは言えません。
あくまでもコア抜きの補助として使うことを心がけ、現場での実作業を慎重に行うことが大切です。
ノロの出具合を確認しながらコア抜きを行う
コア抜きに習熟した熟練作業員は、コア抜きで生じるノロの出具合から鉄筋や配管の有無、および接触したかどうかを見極められます。
しかし、全員がこのような熟練の技を使えるわけではなく、その日の体調や現場によって揺らぎがあるのも事実です。
したがって、鉄筋探査と同様、あくまで補助的な方法だと言えるでしょう。
ウォータージェット工法を用い非破壊でコア抜きをする
コア抜き時に鉄筋の誤切断が起こるのは、コア抜きを行うコアドリルがコンクリートだけでなく鉄筋も破壊してしまうからです。
つまり、「コンクリートだけを破壊する」ような工法があれば、コア抜き時の鉄筋の誤切断は起こりません。
そのような画期的な工法が、水圧を使う「ウォータージェット工法」です。
従来の工法では、コンクリートを破壊するというよりは「削り取る」ことでコア抜きを行い、それに伴い鉄筋をも巻き込んで破壊していました。
しかし、ウォータージェット工法では、コンクリートを削り取るのではなく「砕く」ので、鉄筋は残したままコア抜きを行えます。
ウォータージェット工法の実際の様子を紹介していきます。
こちらはコア抜きに使用するガンです。
このガンをアンカーとともにコア抜き位置に設置します。
このようにレバーを動かすことで穿孔を行うので、強い力は求められません。
従来の乾式穿孔、湿式穿孔にあるような振動や騒音、粉塵は生じないため、作業員にも、周囲の環境にもやさしい工法です。
そして、作業後のコアの様子がこちらです。
コアの壁面が凹凸状なので、従来の工法よりも仕上がりは劣るように感じるかもしれません。
しかし、壁面が凹凸状になることにより、コア抜き後に挿入、注入する鉄筋やモルタルなどの充填材が定着しやすくなり、構造物全体の安全性の向上に貢献します。
唯一と言っても良いデメリットはコストが高い点ですが、それを補って余りあるメリットが存在するのも事実です。
私たち「サン・ロード株式会社」では、環境にやさしい水圧を使ったウォータージェット工法を積極的に活用しています。
もし、「鉄筋を非破壊で行うコア抜き」に興味がある場合は、弊社カタログをご覧いただけますと幸いです。
鉄筋を切断したときの対処法
ここまで、コア抜き時に鉄筋を誤切断しないための方法を紹介してきましたが、人間が作業を行う以上、どれだけ気をつけても切断をしてしまう可能性はゼロにはできません。
そこで最後に、鉄筋を切断したときの対処法を解説していきます。
といっても、一度切断してしまった以上、復元することはできないので、できることは下記の2つに限られます。
- 現場責任者に報告する
- 耐震壁かどうか確認する
最優先にすべきは「現場責任者に報告する」ことです。
誤切断は大きな問題につながりかねないため、責任者に報告をするのはためらわれるかもしれません。
しかし、問題を放置すればするほど現場の作業は進み、誤切断に対応する時間的、経済的リソースはどんどん膨れていくので、誤切断をした直後の迅速な報告が求められます。
まとめ
コア抜きには鉄筋の誤切断がつきものですが、できる限りそのリスクをゼロに近づける努力は行うべきです。
ウォータージェット工法は鉄筋を非破壊でコア抜きできる画期的なコア抜きの工法なので、興味があるお客様は弊社カタログを一度ご覧くださいませ。