サン・ロード株式会社

橋梁補修・補強の基本的な10つの工法とそれぞれの特徴!

日本には多くの橋梁が存在していますが、今後日本では2030年を過ぎると過去に建設された多くの橋がメンテナンスが必要な状態に入ると言われています。

そのため、橋梁のメンテナンス・補修の工法については今一度知識を深めておく必要があります。

そこでこの記事では、橋梁工事(補修)おける工法を一つ一つ解説していきます。

橋梁補修工事の10つの工法

小さな橋梁

小さな橋梁

劣化が進んでいる橋梁の補修方法は大きく分けて以下の10種類が存在します。

  1. ひび割れ補修工法
  2. 断面修復工法
  3. 部分打替え工法
  4. 表面被覆工法
  5. 防錆処理工法
  6. 防水工法
  7. 再アルカリ化工法
  8. 全体打替え工法
  9. 電気防食工法
  10. 脱塩工法

それぞれ補修できる範囲が異なるため、以下で解説していきます。

ひび割れ補修工法

橋梁工事におけるひび割れ補修工法は、橋梁の劣化を防ぐために重要な手法です。主要な工法には、被覆工法、充填工法、注入工法があります。

被覆工法では、ひび割れ面にプライマーとパテで下地処理をし、その上に表面被覆して、ひび割れを密閉します。充填工法では、ひび割れをカットしてポリマーセメントなどを充填し、劣化部分と一体化させます。

注入工法は、ひび割れに低粘度の樹脂を注入して密閉し、水分や塩分の侵入を防止します。これにより、コンクリートの劣化を遅らせ、橋梁の耐久性を向上させることができます。

断面修復工法

断面修復工法は、橋梁の劣化や損傷したコンクリート断面を元の状態に戻すための重要な補修方法です。

代表的な工法には、左官工法、充填工法、吹付け工法があります。左官工法では、損傷部分を取り除き、型枠を設置してポリマーセメントなどのモルタルを塗り込みます。

充填工法では、粗骨材を型枠内に詰め、空隙にモルタルを注入して断面を復元します。吹付け工法は、損傷部に高速でモルタルを吹き付け、断面を補修する方法です。

これらの工法により、コンクリートの強度や耐久性が回復し、橋梁の安全性と寿命が延びます。

部分打替え工法

部分打替え工法は、橋梁の損傷したコンクリート断面を新しいコンクリートに置き換える工法です。

この方法は、特に床版や壁高欄などの比較的小さな損傷部分に適用されます。損傷したコンクリートを切断し、鉄筋の継手部分を確保しながら除去します。その後、新たな鉄筋を設置し、損傷箇所に新しいコンクリートを打設して修復します。

この工法は、既存の構造物に対して最小限の影響で補修が可能であり、部分的な修復によって構造全体の耐久性を維持しつつ、損傷箇所の強度を回復させることができます。

表面被覆工法

表面被覆工法は、コンクリート構造物の表面を塗装で被覆することで、劣化を防ぐための工法です。

この方法は、コンクリートの劣化要因である水分、塩分、炭酸ガス、酸素などの浸透を防止することを目的としています。

具体的には、適切な塗装材料を選択し、コンクリートの表面に塗布することで、これらの有害物質の侵入を抑制します。塩害や凍害による劣化が進行している場合や、特に厳しい環境条件にさらされる橋梁などに適用されることが多いです。

表面被覆工法により、コンクリートの耐久性が向上し、構造物の長寿命化が図られます。

防錆処理工法

防錆処理工法は、コンクリート内の鉄筋の腐食を防ぐための補修工法です。

この方法では、まずコンクリートを削り取って鉄筋を露出させます。

次に、鉄筋の錆をケレンと呼ばれる作業で除去し、その後に鉄筋にエポキシ樹脂塗料やポリマーセメント系塗布材などの防錆材を塗布します。この処理により、鉄筋の腐食進行を抑制し、構造物の耐久性を向上させることができます。

防錆処理工法は、劣化が進行している場合の暫定的な対策としても用いられることがあり、長期的な補修工法と組み合わせて使用されることが一般的です。

防水工法

防水工法は、コンクリート構造物に水が浸透しないようにするための補修方法です。

この工法では、コンクリートの表面に防水材を組み合わせて布設または塗布します。防水材には大きく分けてシート系と塗膜系の2種類があり、それぞれ異なる特性と適用方法を持ちます。

シート系防水材は、シート状の防水膜をコンクリート表面に貼り付ける方法で、高い耐久性と防水性能を提供します。

一方、塗膜系防水材は、液体状の防水材をコンクリート表面に塗布し、乾燥して膜を形成する方法で、施工が容易です。防水工法により、コンクリート内への水の浸透を防ぎ、内部の鉄筋の腐食やコンクリートの劣化を防止することができます。

これにより、構造物の耐久性が向上し、長寿命化が図られます。

再アルカリ化工法

再アルカリ化工法は、中性化が進行したコンクリート構造物の鉄筋部分を保護するための補修工法です。この方法では、コンクリート内部の鉄筋の腐食を防ぐために、コンクリートに再びアルカリ性を取り戻させます。

具体的には、コンクリートの表面にアルカリ性の溶液を含む仮設材を設置し、鉄筋と外部に設置した電極との間に直流電流を流します。この電流によってアルカリ性溶液がコンクリート内部に強制的に浸透し、中性化したコンクリートを再びアルカリ性に戻します。

再アルカリ化工法は、鉄筋の腐食を防ぎ、構造物の耐久性を大幅に向上させることができます。この工法は、特に鉄筋の腐食が進行しているコンクリート橋梁や建築物に対して効果的です。

全体打替え工法

全体打替え工法は、広範囲にわたる劣化や損傷が著しいコンクリート構造物の一部または全体を新しいコンクリートに置き換える補修工法です。この方法は、部分的な補修では効果が不十分な場合や、コンクリートの品質が全体的に低下している場合に適用されます。

全体打替え工法では、まず劣化や損傷している既存のコンクリートを完全に取り除きます。その後、新たに型枠を設置し、鉄筋を組み直してから新しいコンクリートを打設します。この過程で、必要に応じて鉄筋の補強や追加も行います。

この工法の利点は、構造物全体の強度や耐久性を根本的に回復させることができる点です。

しかし、施工には大規模な作業と時間が必要となり、交通規制や利用者への影響を伴うことが多いため、計画的な実施が求められます。全体打替え工法により、劣化した構造物を安全かつ長期間にわたって使用可能にすることができます。

電気防食工法

電気防食工法は、コンクリート構造物内の鉄筋の腐食を防止するための補修工法です。この方法では、鉄筋を陰極、コンクリート表面に設置したチタンなどの金属を陽極として直流電流を流します。

電流を流すことで鉄筋が電気化学的に保護され、腐食の進行が抑制されます。

具体的な手順は以下の通りです。
1. 鉄筋の露出:コンクリートの一部を削り取り、鉄筋を露出させます。
2.電極の設置コンクリート表面にチタンなどの陽極材料を設置します。
3.直流電流の流し込み鉄筋と陽極の間に直流電流を流します。この電流が鉄筋を陰極として保護し、腐食反応を防ぎます。

電気防食工法の利点は、既存の鉄筋の腐食を防ぎ、コンクリートの耐久性を大幅に向上させることができる点です。特に塩害や化学物質による腐食が進行している場合に効果的です。この工法は長期的なメンテナンス効果が期待でき、橋梁やトンネルなどの重要なインフラの延命に貢献します。

脱塩工法

脱塩工法は、塩害により劣化が進行しているコンクリート構造物の補修方法です。

この工法では、コンクリート内部の塩分を除去することで、鉄筋の腐食を防ぎ、構造物の耐久性を回復させます。具体的な手順は以下の通りです。

1. 外部電極の設置:コンクリート表面に外部電極を設置します。この電極には、導電性の材料が用いられます。
2.電解質溶液の適用:電極とコンクリートの間に電解質溶液を適用し、塩分を溶解させる準備をします。
3.直流電流の流し込み:コンクリート内部の鉄筋(陰極)と外部電極(陽極)の間に直流電流を流します。これにより、コンクリート内部の塩分が電解質溶液に引き寄せられ、外部に移動します。

この方法により、コンクリート内部の塩分濃度が低下し、鉄筋の腐食が抑制されます。

脱塩工法は、部分的な断面修復工法と組み合わせて使用されることが多く、コンクリートの劣化部分を除去した後に適用することで、より効果的な補修が可能です。

塩害による劣化が著しい場合に有効で、コンクリート構造物の長寿命化に貢献します。

橋梁補修はサン・ロードにお任せ

橋梁の補強工法は複数存在します。その中で、どのような工法を採用するのかは、現場への理解・各工法への理解を深めておく必要があります。

私たち「サン・ロード株式会社」では、特許を保有する「スーパーホゼン式工法」をはじめとして、様々な工法を駆使して橋梁補強・補修を進めています。

興味を持っていただけたお客様は、施工可否やコスト感など含め、些細なことでも構いませんのでお問い合わせいただけますと幸いです。